宮城県牡鹿半島の先に浮かぶ島、金華山。
1270年前、日本で初めて金が産出されたというみちのくの三大霊山のひとつ。
金華山の黄金山神社は「三年連続参拝すると一生お金に困らなくなる」と言い伝えられている。

宮城県に住んでいながら、今まで一度も行ったことがない。
巳年ということもあり満を辞して行ってみることにした。
金華山へは船でいくしかない。
しかも定期船は1日1本。10時30分に鮎川港を出発し、13時に金華山から戻る船だけ。
他の方法としては、海上タクシーを予約するか、船をチャーターする。
ぼくのお店の休みは月2回。貴重な休みに失敗は許されない。
1ヵ月前から入念に調べた。
観光船は平日のため、予約しなくても乗れる。
2週間前にはタイムズカーでクルマを予約し、当日を迎えた。
仙台からは約2時間の道のり。
グーグルマップが弾き出した時間は、三陸自動車道を使って1時間58分。
8時に出発すれば30分前に到着するはず……だった。
石巻河南インターで降り石巻市内にさしかかった時、一抹の不安にかられグーグルマップを見ると、ルートから外れていた。が、クルマの流れに逆らうことができず、そのまま走り続けることとなった。
方角は間違っていないし、いずれはルートに合流する。大丈夫だ、と確信して進む。
やはり間違ってなかった。
分岐点となる渡波でルートに乗り直し、右に折れるとそこから牡鹿半島だ。
しかし、ここからが思いもよらぬ山道、カーブの連続だった。当然、スピードを出すことはできず、隣に乗る妻がクルマ酔いはしないかと心配になる。房総半島や伊豆半島に行ったことのある人ならわかるだろう。半島は観光地のくせに回り道はない。
焦る様子もみせず、ときどき、木々の間から見える太平洋の海がきれいだとかいいながら先を急いだ。
鮎川へ向かう道は一本道がゆえに、間違えることはないからか、どこまで行っても看板はなかった。
くねくね、くねくね、くねくね……走っても走っても辿りつかない。
出港まであと5分に迫ったとき、さすがに焦り、本当にこれで合っているのか、通り過ぎたのではないかと、もう一度グーグルマップを見た。
目的地のマークとほぼ重なっている。通り過ぎてはいない。
顔を前方にやると、それらしい港が見えた。
目の前に駐車場が現れ、ホエールランドらしい建物。どこにクルマをとめればいいんだ!
とその時、定期船は無常にも港を離れた。
ホエールランドというのは、鯨の博物館という観光施設。その昔、鮎川は捕鯨が栄えた港町だった。震災で津波をかぶり休館していたが、復興により整備され、立派な建物になっている。
ぼくと妻は落胆し、クルマから降りて、建物に向かう。
奥の方に乗船券販売所の看板が見える。
ぼくは妻に平静をよそおい、「何かほかの方法があるんじゃない」と言いながら向かった。
「定期船は出てしまいました。本日はもう出ません」
乗船券売り場の若い女性が顔色ひとつ変えずそう言った。
ああ無常。一瞬、頭が白くぶっ飛んだ。
冷静さを保ち、「な、な、なにか方法はありませんか?」と尋ねると
「海上タクシーがありますよ。でも……」
「でも……?」
「定員の人数にならないと出発しないので、何時になるかは──」
「えぇ!」
「ここにお名前と携帯の番号を書いてください。いつになるかわからないので、この近くでお待ちください」
「へぇぇぇ。」カリカリカリ
情けなく、名前と電話番号を書いて、近くの椅子に座って待つことにした。

「1日1便だったら、これから来る人いないよなぁ」
15分ぐらいがたったころ、ぼくたちはあきらめかけていた。
そこに4、5人の女性グループが来て、近くの椅子に座って、何か話していた。船の手配役の男が声をかけている。
すると名前を呼び始めた。そしてぼくたちの名前も。
奇跡が起きた!
船着場に誘導され、小型船に乗り込む。
船主が甲板は水がかかると言っていたので船内に入ることにした。船内に6人。後ろの甲板に5人。

船が港を離れると、だんだん波が高くなる。船はスピードをあげると、ガッと船底が固い岩にでもぶつかるような音がした。波の高い地点まで上がると、ふっと落下する。そしてまた船底に衝撃がある。その繰り返し。
妻は涙を流して爆笑していた。さながらディズニーシーのセンター・オブ・ジ・アースのようだと。定期船に乗り遅れなかったら、これも味わえなかっただろう。いい思い出だ。
船は金華山に近づくとスピードを落とし、船の余韻にゆらゆら揺れながら、船を降りた。
祈祷を申しこんだ人たちはクルマが用意されており、先に神社へと行ってしまった。待っていれば次が来ると言われたが、ぼくたちは歩いて黄金山神社を目指すことにした。
海を見下ろしながら、急な坂道を登り、表参道からアプローチした。
さすがに太平洋に浮かぶ島。野生味あふれる大木が生い茂っていた。
神社の境内に着く。
まずは御神木にお参り。

巨大な恵比寿・大黒尊像
結構、笑える! 福がありそう!

銭洗所。ご利益ありそうです。
ここで財布のなかにあった小銭を全部洗いました。

御本殿前の御拝殿に参拝し、五百円の御神木に願いごとを書いて奉納。
これは大護摩祈祷でお焚き上げをしてくれるから、きっと願いはかなうでしょう。
御朱印は祈祷受付所でもらえるので向かうと、
その前に鹿!金華山と言えば鹿!
黒い瞳でじっと見つめてくるので、見つめ返したら、威嚇された。周りをよくみると、鹿の餌が百円で売ってた。ぼくを見ていたのは「エサをくれ」ということだったらしい。
怖かったけど、餌をあげました。

祈祷者待合室はお休み所になっていて、ご利益のありそうな絵が展示されていた。


帰りは表参道から船着場に向かう。
本当に清々しい海。

観光タクシーは12時50分発。
来年も、再来年もきっとくると決意しました。

鮎川港でお昼。
エビフライ定食 1.300円。プリプリの海老3匹。うーん、まーんぞく。

せっかくだから鯨の博物館も見た。
マッコウクジラの骨格標本が展示されていた。鯨ってでっかいです!
ちなみに世界最大の鯨は「シロナガスクジラ」体調約30m。
帰りはコバルトライン経由で女川へ。シーパルピア女川に立ち寄り。三陸自動車道で、出来立ての東松島道の駅でお買い物。夕方には仙台に到着し、無事、休日を楽しむことができたのでした。

来年も金華山に来るぞ!と誓ったぼく。