生命力
生命力というとき
生き抜く力と考えていたが
あらためて、生命力ってなんだろうと
いろいろ見ていたら
ドイツの生物学者であり、哲学者でもある
ハンス・アードルフ・エドアルト・ドリーシュが
「生命が持つ、目的へ向かって完成し全体化する力」と
唱えていたという記事を見つけた。
普段、ボーっとしているぼくは
どちらかというと生命力に溢れた存在ではない。
そんなぼくでも
かつては、仕事をやり切ろうとがむしゃらになった時期があった。
しかし、今は、
世の中的にも、働き方改革やら
リモートワークやらと、がむしゃらにやっていたぼくのような存在が
もう時代遅れになってしまっているのだ。
それでも、こんな時代になっても
夜更けまで頑張っている人たちがいることをぼくは知っている。
時間をかけて、よく考えて仕事をしても
それに見合った対価ではない。
相当な分量と度重なる修正作業。
数日間は、昼と夜が逆転し
ぼくが「あー、今夜もまだやっているのかな」と
思い出して布団に入る頃、
何杯目かのコーヒーを飲みながら頑張っている。
もう何年も前になるが
同じ広告業界にいた人と
それぞれの娘が通う幼稚園の運動会でいっしょになった。
流通の仕事は大変で、その人の知人は
ある時期、それに関わって、みんな卒業していったと
話していたことがあった。
ぼくは、そんな大きな仕事はしたことがなかったけど
同じ事務所には、そういう仕事をしている人がいて
どれだけ大変なものかは理解していた。
それから数年後、ぼくは全国に
数百万部もチラシを折り込むような
流通の仕事を1年半以上も担当することになる。
予算も時間もなかったから
ものすごい数の商品リストから
自分で詳細に書きこんだラフを徹夜でおこして
デザイナーに渡していた。
そうすることで、少しでもデザイナーの作業時間を
短縮しようとしていたのだ。
夜更けまで頑張っている彼は
ぼくが知っているなかでは
センスもピカいちで、デザイナーとして
バランス感覚のすぐれた素晴らしい人物だ。
そんな彼が、昔ぼくが苦しんだような仕事を
昔の予算の半分ぐらいのデザイン料金でやっている。
広告の世界は
デザイン力とコピー力が顧客を驚かせ
それで競い合った時代があった。
やがて、DTPが主流になったことで
デザイナーの作業量は格段に増えてしまった。
皮肉なことに、便利になったことで
修正が当たり前となり、低予算へと進んでしまった。
これがローカルの商業デザイン、広告業界の現実だ。
生き抜くために、仕事をし続けなくてはならないのだが
明らかに、完成を目指すその行為によって
気力は吸い取られてしまう。
彼と話しをすると、デザイン以外の何かを模索している。
手っ取り早いのは、WEBへと触手を伸ばすことなんだろうけど。
生き抜くためには、そんな現実はあるけれど
もう一度、気持ちを奮い起していくことなのだろう。
閉塞感はあるけれど
自分の生命力を信じ
生きる目的をあきらめてはいけない。
きっと、まだいけるはず!
朝、歯を磨いているときに
力の抜けたアイデアが浮かんだ。
もしかしたら、おもしろいことができるかも
そんな空想ができるのも
一度、ドロドロになった経験があるからなのかも知れない。
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